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アスリートのキャリアを考える「キャリアデザインセミナー」を開催

カテゴリ:就職支援
2016.11.01
アスリートのキャリアを考える「キャリアデザインセミナー」を開催
セミナーには8名の受講者と4名のオブザーバーが参加(写真:アフロスポーツ)
アスリートのキャリアを考える「キャリアデザインセミナー」を開催
福井烈JOC常務理事は自身の体験を踏まえてあいさつを行った(写真:アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会は10月15日、味の素ナショナルトレーニングセンターで「キャリアデザインセミナー」を開催しました。本セミナーはアスリートのキャリアに対するサポートを目的として「JOCキャリアアカデミー」が主催。セミナーには現役アスリートと指導者を合わせて8名が参加し、企業で活躍するアスリートOBの事例紹介や自身のキャリアを考えるためのワークショップが行われました。

 はじめに、進行役を務める中村裕樹JOCキャリアアカデミーアシスタントディレクターがセミナーの概要を説明。あいさつに立った福井烈JOC常務理事は、テニスの現役選手を引退後、指導者の知識がないまま日本代表監督になったことで選手に貢献し切れなかったという後悔を明かし、「もし当時勉強できていれば、もっと選手を輝かせることができたと思っています。今日はいいセミナーにしていただいて、有意義な時間を過ごしてください」と述べました。

■キャリアデザインを考えるポイントとは

 続いて、八田茂JOCキャリアアカデミーディレクターがJOCのキャリアサポート事業の歩みとともに、キャリアデザインとはどういうことか、引退後の目標を実現するために意識すべきこと、求められる考え方などを解説しました。
 八田ディレクターは、設定した人生目標と現状のギャップを埋めるためにはPDCAサイクル(※)を回し、トライ&エラーの精神で積極的に取り組む姿勢が必要と説き、「これは皆さんが競技人生の目標達成に向かって努力してきた過程と同じことです。チャレンジしてうまくいかないことがあればどんどん直していけばいい」とアドバイス。さらにキャリアデザインのための3つの観点として「WILL(何をやりたいか)」「CAN(今の自分に何ができるか)」「MUST(譲れないポイント、果たしたい役割)」を紹介しました。

※Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)の 4段階を順に繰り返しながら、業務を継続的に改善していくこと


アスリートのキャリアを考える「キャリアデザインセミナー」を開催
IT企業に勤めながら起業を目指しているという元Jリーガーの谷川烈さん(写真:アフロスポーツ)
アスリートのキャリアを考える「キャリアデザインセミナー」を開催
自転車競技のオリンピアンから一企業の管理職となった鈴木光広さん(写真:アフロスポーツ)

■アスリートOBの体験談から学ぶ

 近くの人同士でペアを組み「他己紹介」形式での参加者紹介の後、1人目のアスリートOBとして、元Jリーガーで現在は株式会社グライダーアソシエイツでWEBサービスの広告営業を行っている谷川烈さんが登壇。戦力外通告を受けたことを機に25歳でプロサッカー選手を引退し、大学進学を経て大企業からベンチャー企業に移ったという谷川さんは、これまで何度か訪れた人生の転機において常に「自分はどうなれば幸せなのか」を考え、次の目標を見つけてこれまで進んできたことを明かしました。また、トップアスリートとしての経験が生かせる点を挙げながら、「現役時代はとにかく全力でトレーニング、プレーをしてください。これが前提にないと、セカンドキャリアはうまくいきません」とメッセージを送りました。

 午後最初のプログラムは2人目のアスリートOB、自転車のロードレースで1988年のソウルオリンピックに出場し、現在はブリヂストンサイクル株式会社で管理職を務める鈴木光弘さんがプレゼンテーションを行いました。運動が苦手だった子ども時代から、自転車競技でオリンピックに出場するまでになったきっかけと、引退をして同社に入社後、現在のポジションに就くまでの苦労に対するモチベーションはいずれも「反骨心」という共通点があったという鈴木さん。アスリートとしての戦歴といち社会人としての職歴を時系列で振り返りながら、「アスリートとしてあるべき姿と、将来ありたい姿をしっかりと考えてください。ここを間違えると将来が変わってしまいます」と訴えました。そして、契約選手の1人であるトライアスロンの上田藍選手がスポンサーに対して提出している報告書を例に挙げながら「プレゼン能力を高め、日頃からサプライヤーに感謝を示すことが大事」と述べ、企業が求める人材として、PDCAサイクルを回せること、パソコン操作などの基礎能力があること、ライフスタイルのビジョンが明確で高い情熱を持つこと、といったポイントを挙げました。


アスリートのキャリアを考える「キャリアデザインセミナー」を開催
ワークショップのファシリテーターを務めた鈴木統也さん(写真:アフロスポーツ)
アスリートのキャリアを考える「キャリアデザインセミナー」を開催
適性検査の結果をもとに自己分析を実施(写真:アフロスポーツ)

■自己理解を深めるためのワークショップ

続いて「自己理解を深める」「キャリア探索の方法を知り、試したくなる」ことを目指して、株式会社リアセックの鈴木統也さんをファシリテーターに迎えてのワークショップを実施。まず前半は、あらかじめ受検していた「R-CAP」という職業適性検査の結果を見ながら、自分にどのような興味・志向・価値観があるかを把握し、自分が活きる働き方、心地よい仕事環境、職業適性、キャリア志向について分析しました。
 受講者は2〜3人のグループに分かれて自分の結果を踏まえながら、目標に対するアプローチの仕方や、人との関わり方、リスクのとらえ方などを互いに共有。鈴木さんは「このような志向というのは行動に表れます。ぜひ自分を知って、どういう方向に進むかを考えてみましょう」と呼びかけました。

 ワークショップの後半では、さらに一歩踏み込んだ自己分析を実施しました。検査結果から各自に示された「あなたの志向と似ている職種」から興味があるものをピックアップ。選んだ職種の解説文の中でさらに気になったキーワードをふせんに書き出し、共通点があるキーワードのグルーピングをすることで、自分がどのような分野に興味があるのか、やりがいを感じるのかを客観的に見られるシートを作り、受講者同士で新たな気付きを話し合いました。
 鈴木さんはキャリア探索のための観点として「触れる」「出会う」「試す」「学ぶ」の4つを紹介。インターンシップなどの機会を使って現場に触れること、自身のロールモデルだと思える人に直接会って思いを伝えること、ボランティアやアルバイトをしながら自分に何ができるか腕試しをすること、興味のある分野について学んでみること、といった例を挙げ、「いろいろな視点から自分を見ることが大事。自分のやりがいを体験しながらキャリア探索をしていってください」とアドバイスしました。

 ワークショップを終えた受講者からは「自分のやりがいをあらためて認識できたので、これからに生かしたいと思います」「漠然と考えていたことはありましたが、R-CAPによって言葉で示されたので、自分を見つめなおすことができました」といった声が聞かれました。それを受けた鈴木さんは、「ぜひ自分のやりたいことをいろんな人に発信して、周りを巻き込んでください。会って、話す。これをぜひ実践していただきたいと思います」と述べ、プログラムを締めくくりました。

※この活動はスポーツ振興くじの助成金を受けて実施されています。





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